miroの本質は発想の転換と新しいコミュニケーションを自然に習慣化できるところにある
2022年12月23日
今年、miro革命 ~ビジュアルコミュニケーションによる新しい共創のカタチ~ という本を出版させていただいたので、私にとってmiroは欠かせないキーワードになりました。miroはオンラインのホワイトボードと思っている人が多いかもしれませんが、本質は別のところにあると考えています。
この記事はmiroのアドベントカレンダーの記事になります。miroをテーマに様々な人が記事を書いているので、ぜひ他の記事も読みにいってみて下さい。
人の思考は使うツールによって変わる
今年はいろいろな場でmiroの勉強会だったり、活用のための講師もさせていただきました。多くの人がmiroの機能性に驚かれるのですが、「google関連のサービスも共同編集できますよね?miroじゃないといけない理由は何でしょうか?」と問われる方も一定数います。
miroじゃないといけない理由は
機能性の高さ
他ツールとの連携の良さ
同時編集する時の安定性
など様々な理由が考えられるのですが、これらは正直に言うと必ずしもメリットになるとは限らないので、(例えば、miroは多機能だが、その分機能の理解には時間がかかり、使い始める時のハードルでもある)、「miroじゃないといけない」にはなり得ないと思います。
私自身が感じるmiroならではの良さは、miroを使うことによる「思考とコミュニケーションの方法の変化を習慣化できる」ところにあると考えています。
例えば、パワーポイントでプレゼンテーションをするとき、人はスライド一枚にいかに伝わるキーワードを入れ込めるかを考えます。1枚目はこれ、2枚目はこれ、と言うようにスライドしていくことを考慮し、相手に伝わりやすいような順番を整えて作っていくでしょう。
一方、miroの場合はそういった枠が無いので、一気に全体像を伝えることも出来れば、相手が関心を持ってくれたことをフォーカスして話すことも出来ます。自由に書いていて思いつくことを足したり、見づらいなと思ったら減らしたり。こういう、使うツールによって思考の仕方に変化が出るということにぜひ意識的になってみてください。
短時間で全体像を掴むことができることの効果
なんと言っても、miroの良さは短時間で全体像を掴んでもらうための表現ができたり、プロジェクトのプロセス(進み方の途中経過)を残していくことができる。これは、これまでのツールでは表現しづらかったはずで、表現しづらかったということは全体像の把握や途中経過を残すと言う発想自体、かなり意識的に出来る人でないと難しかったということです。
周りの人に「全体を把握するようにしましょう」と号令をかけるのと、自然に発想が広がりやすいツールを使うこと、どちらが多くの人に届いて習慣に出来るかを考えてみたら、明らかではないでしょうか。
プロジェクトを進める時に、リーダーしか全体像を把握していないケースと全員が把握しているケース、どちらが成果に向かいやすいでしょうか。イベントを開催するときに、中心メンバーしか全体を把握していないケースと関わるメンバー全員が把握しているケース、どちらの運営が楽でしょうか。
いろんな人の声を聞く余地を習慣に
そして、これはmiroに限らないのですが、オンラインボードを使うことで、短時間でその場にいる人に自分を表現してもらう余地を作りやすくなります。zoomで一人ひとり意見を聞くことよりも、miroで一気に付箋に書いてもらうことで数十人に自分の意見を書いてもらうこと、どちらも大切ですが、後者を取り入れることにより、多くの人のスタンスや考えを把握することが可能になります。
また、絵文字やスタンプ、アイコンなどを利用することにより、言葉以外の表現で自分の内側を表現できたり、自分の好きなサイトや動画のurlを貼り付けて、関心や情報を交換しあったり。いろんな自己表現が同じボード上で出来るので、自分が好き、得意な表現を選ぶことが出来るでしょう。
こういう、少なくともこれまでよりはいろんな表現をいろんな人で一緒に出来ること。これを「習慣化」できることにツールの良さがあると実感しています。
私はいろんな人に「miroって何が良いのですか?」とよく聞かれますが、miroそのものも良いが、「ツールを使うことで自然に生まれる習慣に価値があると思う」と答えています。これまでより自然に枠を超えて考える癖だったり、いろんな人に自分を表現してもらう余地を無理なく作れたり。繰り返しますがこれは言葉で「発想を広げましょう」とか「いろんな人の声を聞きましょう」と発するより、ずっと自然でパワフルだと考えています。
習慣の積み重ねはいつか文化になる
私は習慣の積み重ねが文化になると考えています。よく「組織文化を変えたい」というご相談がありますが、今の文化を作っている習慣が必ずあるので、本来なら大掛かりなワークショップで気づきを促すより、目の前の習慣を変えることが最短なのです。
以前、大企業の方に「もっとフラットな社風にしたい」という相談をいただいたことがあるのですが、会社を訪問させていただいたところ、部長だけ大きい机と椅子、会議室も役職がある人がいる場合はソファがある会議室、それ以外の社員で行う会議はカーテンレールで仕切られたスペースで行っていました。これではいくらワークショップをやったって、日常の習慣が変わらない限り無理でしょう。
今、もし社会に変えたい流れや、組織で変えたい文化がある場合、それを色濃くしている習慣、影響を与えるものを見極める必要があります。ツールを取り入れることでどんな習慣になりうるのか、それを考えることが出来ればそれは「miroじゃないといけない理由は何ですか?」という質問の答えになりうるはずです。
miro革命 ~ビジュアルコミュニケーションによる新しい共創のカタチ~
もよろしくお願いします♪