ファシリテーターって何する人? どんな役割?コツは何?と気になる人へ ファシリテーター同士のワークショップの開催レポート
2019年8月19日
参加者同士が学び合うワークショップがどんなものかを感じてみたい方へ
ファシリテーターの役割、心構え、行動などの原則である、コンピテンシーを使ってみる
事前のご案内の記事と重なりますが、今回はIAF (The International Association of Facilitators )というファシリテーター向けの国際団体が定めている、ファシリテーターとしての原理・原則をまとめたコンピテンシーを使って、お互いの主催している場を見直してみるという趣旨でワークショップを開催しました。
参加者はファシリテーションを勉強中の方を含めて、ファシリテーターのみという、参加者をかなり絞って募集をしたのですが、IAF JapanやFAJの方のご協力もあり、たくさんの方に来ていただくことができました。本当にありがとうございます。
ここからは、当日どんな内容を行なったかを、設計のコツとともにお伝えしていきますので、いろんなワークショップのプログラムを知ってみたいという方はぜひ参考にしてみてください。
床に貼ってあるテープは何でしょうか? この後、チェックインの時に使用するものです。
ファシリテーションのコツとは? 参加者が知り合いやすくする工夫を入れる
まず、初対面の人同士が集まる短時間のワークショップの場合、なるべくどんな人がいるかが伝わりやすくなるようにすることと、何をするかを予め開示し、安心感を高めるようにしています。
今回のワークショップの流れはこちら。また事前案内のメールにも「こんな感じのことをやります」と記載しておきました。
受付をした後は、エントリーチェックという、いくつかの質問に対して自分が当てはまるところにシールを貼ってもらうワークをしてもらいました。
こんな感じ。写っているのは、今回後援していただいたIAF Japanで事務局をされているトキさんです。
さらに、ワークショップの最初に行うチェックインは床を4象限に見立て、1つの軸を自分のファシリテーションのスタイルは外向的か?内向的か? (盛り上げるタイプ?待つタイプ?) もう1つの軸を設計と介入どちらを重視するタイプか?と分類し、自分が当てはまるところに動いてもらう→近くになった人(=似たタイプの人) と参加動機について伝え合うという方法で行いました。
実際に動いてもらっているところです。この日は内向×設計タイプの人が多かったかな・・・。
ワークショップの初めの段階で実施する、気持ちを切り替えてこの場所に意識を向けるために参加者一人ひとりが一言ずつ話をする時間のこと。詳しく知りたいという方はこちらの記事をご参照ください。
IAFのコンピテンシーに慣れてみよう!
チェックインの後は、コンピテンシーに慣れるためのミニワークを行いました。 コンピテンシーは全部で74項目あるのですが、主に6分類に分かれています。
A. 創造的で協働的なクライアントとの関係性を創る
B. 適切なグループ・プロセスの計画を立てる
C. 参加型の環境を創り出し維持する
D. グループが適切で有益な結果に到達するガイドする
E. プロフェッショナルな知識を身に付け、維持する
F. プロとしてポジティブな態度を示す
その分類ごとに問いかけを壁に貼り、チェックインで組んだグループごとにそれに答えてもらうという形式で行いました。例えば・・・
もっと詳しく知りたい方へ
コンピテンシーを使って、自分のワークショップを見直してみる
次に行なったのが、今回のメインのワーク。全員で、最近自分がファシリテーターとして関わった話し合いや、これから実施するプログラムを書いてみて、その中の数名の方の事例を他の参加者がフィードバックするというワークを行いました。
私たちが工夫したワークショップの設計&進め方のポイント
ここから先はただのワークショップのマニアックなこだわりなので、関心がある方だけ読んでみてください。
前がない会場を使用する
今回、会場のどこでも移動して使える部屋を探してみました。通常、ワークショップを行う時にはファシリテーターが前に立ってそのまま進めることが多いと思うのですが、部屋の全面を使っていろんな場所を前にできたらいいなぁと思い、意識的にそういう会場を選んでみました。
前があると、参加者が座っている位置によって話しやすさが変わるので、発言する人、しない人が分かれる傾向があるなぁと思っていて、お互いに学び合うという趣旨なのでいろんな人がいろんなところから発言しやすくなるよう、ファシリテーターも話す場所を変えながら進行しました。
費用や参加形態に選択肢を増やす
会場を選んだのは良いのですが、公共施設などよりも会場にお金がかかるところを選んだため、赤字にならない工夫として、私たちが設計したワークショップの全体概要とプログラムの進行表、そしてワークで使用した記入シートを一式、購入希望の人に販売する形式にしてみました。
元々、参加者がファシリテーターというのもあって、内部資料であっても価値を受け取ることができる人たちですし、せっかく作ったワークショップなのでこの日だけで終わらず、いろんなところで使ってもらえたら嬉しいからです。
また、イベントを応援してくれる人向けに差し入れ、という項目も作ってみました。これ、実は私たちの意図としては参加しないけど、応援するよ〜という人がいたら嬉しいなという下心だったのですが、参加者の人が追加で払ってくれることの方が多かったです。
また、今回は当日のお手伝いの枠を数名だけ設定し、会場設営や受付を手伝ってもらうようにしました。単純に人手が必要だったのですが、受付はどなたかに依頼できた方が主催者が参加者と話が出来て良いなと思ったので、次回以降も取り入れようと思います。
IAFの経験と自分たちの経験をバランスよく活かすこと
実はIAFのコンピテンシーを学ぶためのプログラムは「これ!」というものがまだありません。よって、それぞれが自分の経験を通じて学んでいくしかない状態です。なので、どういうプロセスなら短時間で効果的にコンピテンシーと自分の体験とつなげられるか?と意識しながらプログラムを考えました。
自分たちがこれまでの経験で学んだ手法を取り入れつつ、IAFのライブラリーを見たり、自分たちもコンピテンシーの一覧を見ながら全体のプロセスをレビューしたりしました。
参加者の声
最後に当日ご参加いただいた方のSNSでの感想と、アンケートを抜粋してご紹介させていただきます。
- 短時間に知識欲、つながり、貢献のニーズを満たしたワークはすごいです!実践をされている方々のそれぞれのアイデアを一覧できたのは圧巻でした。
- 意識の高い方々とワークをおこなえた。リラックスした雰囲気、信頼関係、お互いをリスペクトし合う関係を感じられたこと。コンピテンシーを通じて自分の課題を見つけられた。会場も素敵でした。
- IAFコンピテンシーについて、感覚的に理解することができた。このような軸になるものがあることで、指摘を受ける際には他の方からの意見を理解しやすく、指摘をする際には違う角度のコメントにスムーズに移すことができるので、活用しやすいと思いました。
- IAFのコンピテンシーについて知ることを目的として参加しました。単純に知るだけではなく、自分自身で考えてみる・自他共に活用するという体験を通じて学べたことがとても良かったです。
【ファシリテーターって、いいね】今日は、ファシリテーション実践者が集り、ファシリテーションについてワークする場に参加。IAFのコンピテンシーを視点にして、それぞれの知見をシェア。おもしろい!このコンピテンシーでこんなやり方するんだ!と…
原 哲也さんの投稿 2019年8月7日水曜日
【ファシリテーター】カテゴリーの違う色んな界隈のファシリテーターが集まっての学びの場。参加者が全員ファシリテーター実践者ってどんな場になるのだろうと思ってましたが、深さと広さと速さを感じた楽しい場。IAF…
稲葉 涼太さんの投稿 2019年8月7日水曜日
今日はこちらのイベントに参加!
ファシリテーターとしての行動規範、倫理、原則をまとめたもの=IAFのコンピテンシーを知って、実際に使うという内容。自分の振る舞いを鑑みるよい機会になった
Facilitators' Learning Cafe 〜IAFのコンピテンシーを使ってみよう!〜 – https://t.co/YhM3oxlRY6
— 渡部そば / チーム設計師 (@sobarecord) August 7, 2019
また、今回の企画は自分の「はたらき」をテーマにワークショップを企画・主催する平出さん (てっちゃん) と協働して主催しました。 てっちゃんは設計を同じくらいの熱量でこだわってくれるのと、ワークで使うカードとか、「参加者の心理に影響を与えるもの」を素晴らしくセンスよく作ってくれます。 短時間で学びが多くなるようにしっかり設計したい公開ワークショップを一緒に実施しています。
普段は企業に勤務していて、社内でのワークショップを担当しているようなので、同じような状況で悩んでいる方などがいたらぜひ相談してみてくださいね。