【構造を変える習慣を生み出す】ファシリテーターは何を促進しているのか?

2022年12月4日

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今回は「ファシリテーターは一体何を促進しているのか?」という記事です。普段、ファシリテーターをしている人は「何を後押しする視点」を持って活動していますか? 私はファシリテーターに転向して9年目なのですが、ようやく自分が育みたい、促進したい方向性について言葉にできるようになってきたので、ここでご紹介してみます。

この記事はファシリテーターをテーマにしたアドベントカレンダーの参加記事です。他にもたくさんのファシリテーターが記事を書いているので、ぜひ覗きにいってみてくださいね!

ファシリテーター=促進する人?

ファシリテーターとはよく「促進する人」という訳され方をします。Facilitate = 容易にする、促進するという意味ですし、特に集団で物事を進めやすくするためのサポートをする人のことをファシリテーターと呼ぶので、何かを後押しする存在であることは間違いないでしょう。

私は元々、運営していた団体の話し合いがうまくいかなくなり、悩んだことからファシリテーションに出会ったので、最初はファシリテーションを活かすのは主に会議などの話し合いに活かすものだと思っていました。 もちろん、集団活動の最たるものは「話し合い」であり、そこに大きく貢献できるのがファシリテーションではあるのですが、年月が経つにつれ、もう少し広い視野で活かせるものであることが分かってきました。

物事を進める時には必ず、下記の2つの視点があります。

・コンテント ( 内容 :何をやるのか? )
・プロセス ( 進め方:どのようにやるのか? )

ファシリテーターは この「プロセス」に主眼を置く人が多いのですが、 (※ 厳密にはコンテントのファシリテーションもあります) ここに着目した時に、ものすごく大きく言えば社会変革だってできるのがファシリテーションではないかと思うのです。

社会変革のファシリテーションってどういうこと?

昔の私は、社会変革だのイノベーションだの連呼する人は、目の現実から目を逸らしている胡散臭い人だと思っていました。しかし、自分なりに実践を続けた結果、今では社会変革を見据えながら「今目の前にある習慣を1つずつ変える」ことこそが社会変革のファシリテーションと言えるのでは?と思い始めています。

誰もが、この先こんな社会を生きていきたいなという小さな願いみたいなものを持っているとしたら、私の場合は特に、

・違う国、文化を尊重し合える、平和な社会
・誰もが対等にチャンスを得られる社会
・自分のままで ( 弱いままで ) 生きられる社会

が良いなと思っています。そのために「意思決定を多様な人でできる」ような構造が必要であると考えていて、自分が関わる活動は、本音を言えば全て、多様な人が参加できる構造づくりに貢献したいです。


例えば、今年 IAF Japanの理事仲間である田原さんと共著でMiro革命 ~ ビジュアルコミュニケーションによる新しい共創のカタチ ~ と言う本を出版したのですが、これは Miroを使ったコミュニケーションを意識することで、これまでの社会のコミュニケーションよりも、誰もが自己表現をする隙を生みやすくなると考えたため、出版することに決めました。

もちろん、様々な話し合いをファシリテーションしていくなかで「これで一発起死回生!」みたいな社会変革のアイデアが生まれる可能性もゼロではないでしょう。しかし、私は自分の性格を顧みた時に、起死回生のアイデアにかけるより、この先のより良い変化を願いながら、今の構造を変える習慣を生み出す ことが最も自分らしいファシリテーターとしての在り方だと思っています。 ( 起死回生のアイデアはどなたかお願いします笑 )

これまでの構造を続けることに加担していないだろうか?

人は無意識のままこれまでの構造を続ける、もしくは促進することに加担していることがあると思っています。例えばその際たる例が、ジェンダーギャップの構造をそのまま促進している問題ですね。ちょっとこちらの記事を読んでみてください。

この記事、2年前にTwitterでバズっているのを見つけたのですが、この方のように今の社会構造で得をしている人がそれを自覚して、ちゃんとあるべき方へ降りることってなかなかできない。

何が言いたいかというと、社会の中でファシリテーターという役割を意識している人でも、無意識のうちに「これまでの社会の在り方を推し進めてしまっていることはないだろうか?」ということ。特に長期的なプロジェクトに携わる機会があるファシリテーターであればあるほど、ぜひこの視点は持ち合わせていて欲しいというのが私の願いです。

多様な人で物事を進める習慣のある社会

私が願う、多様な人で意思決定できる社会の最小単位の習慣は何になるかを考えると、やはり多様な人で物事を進める習慣のある社会ということになるはずです。現在、私が携わるプロジェクトは、

・なるべくいろんな人が関わる隙を作ること
・それをなるべく属性がバラバラになる人で構成すること

を心がけています。例えば、オンラインのイベントを企画して運営するときに、参加者が数十人なら自分一人で考える方が早いです。もちろん、スピードを求められる場面でそのように対応することもありますが、私が大切にしたいことはより手間をかけ、時間をかけ、面倒な方を選び、結果として喜びを分かち合う進め方です。

現在、お仕事させていただいている石川県能登町の市民対話の場は、毎回手を挙げてくれた人に運営メンバーに入ってもらい、プログラムを共有して、役割を細かく分担して、しかも回を重ねるごとに役割を交代しながら進めています。

来年、ビジュアルコミュニケーション講座 (仮) というMiro革命 の内容をもっと体感的かつ踏み込んで伝えるようなプログラムをやろうかなと検討しているのですが、公開講座でもなるべく複数名でいろんな方と運営できるようにしたい。

これまでの社会構造を変える習慣を生み出すこと、そして自分がそれを生きること。それが、私がこれからも意識したいファシリテーターとしての在り方かなと思っています。この記事をここまで読んでいる人は、何かしらのファシリテーター、またはファシリテーションを意識されている方だと思います。あなたは「何を後押しする視点」を持って活動していますか。

この記事を書いた人

玄道 優子 ー 対話支援ファシリテーター

「難しい対話を見えやすく、触れやすく。小さな声を掬いやすく」自分の生きる場を他人任せにしない人に向けて、「これをやりたい!」を生み出せる場づくりを支援します。ITコンサルタントからキャリアチェンジ/多国籍やオンラインの場づくり/Miro革命出版準備中  /IAF Japan chapter 理事

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