部署ミーティングや全社ミーティングは組織の文化を案に伝える手段である

2019年11月17日

Large group meeting

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部署・全社ミーティングをする機会がある方へ

私は仕事で部署・全社ミーティングの設計やファシリテーションを担当させていただくことが度々あります。組織の中である程度の人数が集まる場面は、組織の方向性や文化を育む上で大切な時間なのですが、伝えたいメッセージと設定された場から伝わるメッセージが異なるケースに直面することがあります。では、大人数が集まる場では、どのように設計をすると効果的なのでしょうか。

大人数が集まる場は、なぜ大事?

ファシリテーターが力を発揮できる機会の1つとして、「大人数で集まる場面」が挙げられます。企業の部署ミーティング、全社ミーティング (キックオフや、半期に1度の集まりとか) など、頻度は高くないけれどもその組織にとって大切な時間であり、どの組織でも参加者に効果的にメッセージを伝えたいと考えているからです。

 

 

部署ミーティング、全社ミーティングは、その「やり方」で、暗に組織のメッセージを伝えることになります。例えば、組織の文化を「お互いに協働しあえる風土にしたい」と考えている組織があったとします。その場合、その組織の全社ミーティングが「トップの人の話をずっと聞いているだけ」とか「研修講師の話を聞いているだけ」という時間だった場合、そのメッセージを伝えるのは難しいでしょう。

 

 

人は、「聞いている言葉」からだけでなく、体験から学ぶ生き物であるため、協力しあえる風土にしたいなら、協力しあう体験がしやすい設計にする必要があります。もちろん、1回そういう設計にしたからといって劇的に変わるわけではないのですが、大人数が集まる場は多くの人にとっての「共通体験」となるため、特に文化として伝えたいメッセージをその場に込めるなら、メッセージに沿った設計にする必要があります。

現状とゴールをつなぐのが、当日のプログラム

 

ファシリテーターと言うと、話し合いを進行しているシーンを思い浮かべる方が多いのですが、現状から目指したい状態に向かうためのプロセスを設計するのもファシリテーターの大切な役割の1つです。

・こういう状態、こういう条件があるミーティング (現状)
・終わった後にこんな状態を目指したい (ゴール)

ということをファシリテーターに伝えると、その間をつなぐプログラムを設計してもらえるはず。そもそも、現状やゴールの状態を明確にするサポートもしてくれるはずです。もちろん、状況によっていつもファシリテーターを雇えるわけではないと思いますが、外部の講師を呼んでスピーチをしてもらう予算があるなら、1度はファシリテーターを呼んで、一緒に大きめのミーティングを設計してみることをお勧めします。

 

 

組織の中で大人数が集まる場は、大切な時間なのにも関わらず、何となく「この人の講演が今、話題だから」という理由で講演家の方を呼んでいたり、とりあえずリーダーの方が長い方針説明をしていて、参加者は聞いているだけだったりと、「終わった後に目指したい状況から逆算して設計」していないケースも見受けられます。

 

 

自分たちが取り入れたいプログラムは、「組織として伝えたいメッセージを伝えているか? 参加者にとってそれが暗に伝わる体験になっているか?」をぜひ、考えてみてください。

組織の文化やバリューを考慮した設計を

私が企業から部署や全社ミーティングの設計、ファシリテーションの仕事をいただいた場合、その組織のビジョンやバリューを見るようにしていますし、どんな文化・コミュニケーションを大切にしているかについてお伺いするようにしています。

 

 

繰り返しますが、大人数が集まる場は組織としてのメッセージを伝える場でもあるため、その組織が大切にしていることを踏まえる必要があるからです。 「ワールドカフェをやりたい」「LEGOのワークをやってみたい」というように、「やってみたいこと」がある場合、それを行なってみたいのはなぜなのか。 取り入れてみた結果、その時間が終わった後に「どんな状態になっている、何が出来ている」ことが理想なのか。 そして、それは組織のビジョンやバリューに沿っているのか。

 

 

これらを明確にすると、他の選択肢の方が良いことが分かったり、直感的にやってみたいなと思っていた手段とは別のアイデアも浮かんだりします。 大人数が集まる場の体験は、組織の文化の醸成に影響を与えるので「この場の体験を通して」伝わるものが、組織の方向性と合致しているかどうかは意識的になる必要がありますね。

協働することを伝えたいなら、協働することを体現する

組織の大きめなミーティングのサポートの依頼をいただく場合、私は「対話支援」と表していることもあって、参加者同士が話し合いする場にしたいときにお声かけいただいています。 ファシリテーターに依頼をする場合、多くの場合がそうだと思うのですが、当日までにある程度一緒に進める必要がある点にご留意ください。

 

 

例えば、どなたか講演家の方に話をしてもらうなら、時間を伝えて任せてしまうということも可能ですが、ファシリテーターに設計をお願いするときは、背景や狙いを話しあうのに加え、ファシリテーターが提案したプログラムをより機能させるための話し合いをしたり、時には当日の進行も分担したりと、共に進めます。 (もちろん、プログラムを設計して提案したり、当日話し合いやすくするための工夫など、ファシリテーターの専門性を活かすべきところもあります)

 

 

参加者同士で話し合う場にしたい、自主性を発揮する場にしたい、協働する場にしたいなら、まず企画者自身が協働を体現すること。これが、一番参加者にとって誠実な姿勢として伝わります。(また、企画者自身もその組織の方ですし)

 

大切な話し合いの場を、一緒に作り上げていくパートナーとしてファシリテーターは大きく貢献できる存在のはず。ぜひ、「ここぞ」という組織のミーティングの場で、役立ててもらえると嬉しいです。

この記事を書いた人

玄道 優子 ー 対話支援ファシリテーター

「難しい対話を見えやすく、触れやすく。小さな声を掬いやすく」自分の生きる場を他人任せにしない人に向けて、「これをやりたい!」を生み出せる場づくりを支援します。ITコンサルタントからキャリアチェンジ/多国籍やオンラインの場づくり/Miro革命出版準備中  /IAF Japan chapter 理事

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