ファシリテーションが上手い人はどこを観る? 歩み方を変えると成果が変わる

2020年6月8日

\ ぜひお気軽にシェアしてください /

ファシリテーターって何してるの?という方へ

今回は、「ファシリテーターって何をする人で、どんな風に場を見ているのか?」について書いてみたいと思います。私は、自分がファシリテーションを学び始めるまではファシリテーターって横文字を使いたいカッコつけた人のことだと思っていました笑。でも、長年学んできて、やっぱり場を細かく観ることができる人の場は違うなぁと感じています。今回は、プロのファシリテーターがどんな点を意識しているか、について書いてみたいと思います。

ファシリテーションの基本は、歩み方を扱うこと

私はファシリテーターとは、「グループの活動が、その人たちの求める成果に向かいやすくなるためのサポートをする人のこと」と伝えています。

求める成果・ゴールまでの「道のり・歩み方」を扱う人で、例えるなら山登りで山頂(求める成果やゴール)が合ったときに、どのルートがそのチームにとって最も効果的かを考えて提案し、必要に応じてルートを変更しながら、そのチームが進んでいくときに一緒に歩き、励ましたり、休憩したり、ときに問いかけて山を登ることの楽しさや意味を感じてもらったりしながら進みます。

その人がどんな分野でファシリテーションを活かしている人かによって具体的な行動は変わるのですが、私は話し合いの場のファシリテーターなので、すごく簡潔に伝えると下記のような部分を扱っています。

話し合いをする時、人は「話す内容そのもの」と「話し合いの進め方」両方を無意識に考えています。この進め方の部分を重点的に担う人をおくことで、その場にいる人が「話す・聴く」に集中することができる、これがファシリテーターがいることの価値の1つです。

上のイラストでは数名の話し合いの絵で説明していますが、人数が増えたらいろんな対話の方法を使って、場を設計しますし、話しやすくなるような空間を準備したりします。多くのファシリテーターが、ワークショップのデザインをできるのは、この「道のり」の進め方に知識と経験があるからですね。

商品開発のためのアイデアソンの場を開くことができるファシリテーターは、「視点を変えて発想する」ための進め方に知識と経験がありますし、私のような対話の場のファシリテーターは「より本音を話やすい場をつくる」ための進め方の知識や経験があります。

道のり=プロセス

ここではあまりファシリテーションについて知らない方を想定して書いたので、「道のり・歩み方」と表現しましたが、「プロセスを扱う」と表現する方がファシリテーターにとっては一般的です。( FAJ ( 日本ファシリテーション協会)  などでもそのように明記されています。) またファシリテーターだと定義が広すぎるため、英語ではプロセス・ファシリテーターと明記していることもあります。

話し合いをサポートするファシリテーターはここを観る

もう一歩、話し合いのサポートをする視点をお伝えすると、プロのファシリテーターは「何が話し合いに影響をするか」ということへたくさん視点を持つ力が必要です。1つの状況を見て、そこにいくつか仮説をたてて、様々な関わりをする実践を重ねています。例えば、下記のイラストを見てください。

話し合いをサポートするファシリテーターはここを観る

このような状況で、あなたがファシリテーターだとしたらどのような関わりをしますか。

一番、簡単で思いつきやすいのは「意見をしていない人に『どう思う?』と聞いてみる」ではないでしょうか。

もちろん、その声かけも一つの手です。 ただ、話し合いは実際に発せられている言葉の裏でこのような思惑が働いていることがあります。

左から順に

  • 自分の考えがまとまっていない(言語化にまだ時間がかかる)状態
  • 部長とのランクの差により、安心して話せる関係性にない
  • (部長) 意見がないことは同意だと思ってしまっている
  • 部屋が暑い、または体調が悪いなど話し合いを別の要因が話し合いに影響を与えている
  • 権威がある人に同調しておけば良いと思っている(自分の意見はない)

という状態だったりします。話し合いは言葉だけを追っていたら、本質的にこのグループが求めている対話にならないのです。

例えば、上記のような場合、黙っている人に「意見はありますか?」と聴くのではなく、右側の2人へ「部長の案のどんな点を良いと思いましたか?」と聞いてみるのが良いかもしれません。 そうすると、無意識に安易に同調しようとしている自分に気づいて、再度考えるかもしれませんし、一番左にとっても他の人の意見を聴くことが、自分の意見の言語化の助けになるかもしれないです。

もちろん、相手の話し合いに影響していることを全て理解することなど不可能なので、いろんな仮説を立てられる&関わりができるにすぎないのですが…。ただ、話していない人に「意見はありませんか?」と問いかけるだけしか案が浮かばないのは、話し合いのファシリテーターとしては結構、厳しいかなと思います。

ファシリテーションはどうやったら上手くなる?

では、話し合いのファシリテーションはどうしたら上手くなるのでしょうか。 取り入れやすい方法を1つだけお伝えすると、まずは 「話し合いで自分がされて話しやすくなった、または相手の話を聞きやすくなった関わりが何かを観察すること」です。

  • どんな言葉をかけてもらったら話しやすくなりましたか?
  • (例えば休憩のあとは話しやすい、など) いつ、どんな状況の時に話しやすいでしょうか?
  • 会議中、いつ人の話を「聞いていない」状態になりますか? それは何があればその状況を和らげることができるでしょうか?

これらを観察し、「どんな言葉をかけたら、どんな時間配分、話し合いのグループ、空間だったら話しやすくなるのか」を考えて、やってみるのが上手くなるための最も手取り早い実践方法です。

もちろん私自身も、他のファシリテーターの説明や進行の様子を見て、「この言葉の使い方・伝え方はいいな」とか「こんな風に準備するのは私も取り入れよう」と学ばせてもらったり、自分が担当した場は「より良い伝え方や関わりはなかっただろうか?」と振り返りをしていますよ。

「専門性が高い」とは、その領域のことを粒度が細かく観ることができるようになることを意味します。

話し合いのファシリテーションって、恐ろしく地味なことだと気づいていただけたのではないでしょうか笑? もし他にもファシリテーターの視点について知りたい方がいましたらnoteにもいくつか記事を書いているのでぜひ見てみてください。

Special Thanks!

このブログ内のイラストはtextの藤田ハルノさんに書いていただきました!ハルノさんはグラフィックレコーディングもしつつ、ご自身でもコミュニケーションのためのファシリテーションをされる方です。ぜひサイトなど見てみてください。

この記事を書いた人

玄道 優子 ー 対話支援ファシリテーター

「難しい対話を見えやすく、触れやすく。小さな声を掬いやすく」自分の生きる場を他人任せにしない人に向けて、「これをやりたい!」を生み出せる場づくりを支援します。ITコンサルタントからキャリアチェンジ/多国籍やオンラインの場づくり/Miro革命出版準備中  /IAF Japan chapter 理事

\ ぜひお気軽にシェアしてください /