公開ワークショップの作り方を世界に学ぶ Future of work 24hours の開き方

2021年6月24日

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比較的大規模な公開ワークショップ、カンファレンスを開催する機会のある方へ

今回の記事は、先日の記事の番外編で、Future of work 24hoursをどのように準備していったのかについて書いてみます。私は厳密に言うと企画しているメンバーではないので、把握できたことには限りがあるのですが、それでも国を超えたイベント開催のために、自分自身も覚えておきたいなと思い、記事にしました。特にスポンサーを募る努力と準備は日本で経験したことがないくらいレベルだったこと、イベントを伝える努力についてたくさん学べることがあると思います。

どんな場も「これをやりたい」という人の声から始まる

Future of work 24hoursというプロジェクトはAprilとLenaという2人の女性が「やろう!」と意気投合したところから始まります。2人ともがファシリテーターでそもそも2人の出会いもOSTで話をしたことがきっかけだったそう。 昨年が初めての開催で、その時は彼女たちのネットワークで、いろんな国のファシリテーター、グラフィックレコーダーが声をかけられ、協力しあって開催をしました。

 

今年は2回目の開催だったのですが、昨年と異なってボランティアフォームから応募して手を挙げた人が中心に開催されました。1回目は全員が手探りで開催したのですが、私のように2回目の人もチームにいる状態になったので、より自律的に、昨年よりも工夫できる余地を取り入れて開催できたと思います。

 

良ければファウンダー2人の短い動画があるので、英語ですがぜひ見てみてくださいね。

2人ともインクルーシブな場を作るという意識が高く、今回取り入れた「スペイン語・英語バイリンガル形式の回」と「日本語・英語バイリンガル形式の回」を入れたのも彼女たちのアイデアです。まずはどんな場も、「やろう!」という創始者がいて、自発的にやりたい人が手を挙げる進め方が、大きな運動にしていくための一歩です。

運営チームの充実を図る

次に見ていただきたいのがこちらの図。

こちらがいわゆる主催チームです。マーケティングとスポンサーの獲得にどれくらい力を入れているかが一眼でわかりますよね。個人的に、今回の場で素晴らしいなと驚いたのが、この2チーム。 マーケティングチームでは、イベントの広め方のアイデアをまとめたマーケティングキットが配られたり、先程の主催チームのビジュアルイメージを作成したり、先程のようなインタビュー動画を作ったりと、それぞれの担当者がイベントを広める手助けをするツールを作成してくれました。

 

また、スポンサーチームは、これまたスポンサーを得るための説明資料がしっかり準備されており、早い段階でスポンサーを獲得するために動いていたことと、当日もスポンサー宣伝用のページがあったり、スポンサーの団体の方がいたらきちんとお礼を伝えていたり、終わった後もお礼のメールをしていたりと、非常に力を入れていました。

当日のスポンサーを紹介するページ。(日本からは私が理事を務めるIAF Japan Chapterにマーケティングスポンサーになっていただきました!)

ちなみに、このイベントは多くのボランティアが手を挙げて創り上げているのですが、全員きちんと金銭的な報酬を受け取っています。日本でこのようなイベントを実施するときってどうしても「ボランティアでお願いします (この場合、無報酬という意味) 」と言われることが多い。

 

私は何でもボランティアなんとかしようとするところは、ファシリテーターを職業として成り立たなくさせる後押しをしていると考えているため、この日本の実態は好きではないのです。だからこそきちんとスポンサーや参加費を得て、主催チームも報酬を得るように運営している、今回の事例についてお伝えしたいです。

国際ワークショップはローカルマーケターが鍵!

ここまで記事を読んでいるマニアの皆さん向けに、今回のイベントを経験して気づいたことを書いておくと、グローバルなワークショップは絶対にローカルマーケター(スポンサー獲得を含む)がいた方が良いです。今回は私がマーケティングチーム、スポンサーチームとのやりとり、スポンサーの獲得をしていた(運営チームはアメリカの方がメインのため日本でのつながりがないため)のですが、ファシリテーターはこれ以外にもかなりやることがあるので、かなり大変でした。マーケティングや、可能なら参加者のサポートをするオーガナイザーなどの役割はファシリテーターと別でいるとやりやすいと思います。

信頼と賞賛をベースにコミュニケーションを

これは今回のように24時間(=地球一周)のイベントだったので仕方がないのですが、時差の関係上、全員の時間が合うことがありません。毎回、ミーティング(例えばキックオフミーティングや、イベントで使うツールを学ぶミーティング、など)は時間を変えて2~3回開催され、時差が合うところに参加をし、参加できなかった分は録画を見て自主的にキャッチアップします。

 

また、このイベントは6名のチームが4時間のOSTを開催→次のチームにバトンタッチという感じで進んでいくイベントだったのですが、4時間の進め方は完全にチームにお任せ。自分たちのチーム外の人とやりとりする時間がほぼなく、slackで最小限のことをやりとりするくらいだったのですが、良い意味での個人主義で任されているので私はとてもやりやすかったです。

それぞれのチームが準備したテーマを集めるボード。

さらに、私がアメリカの方と仕事をするときに好きなところは、日本人よりも圧倒的に、できたことに対する賞賛を惜しみなく行うこと。例えば、「チケットの販売数が今XXよ。私たちってすごい!全員があと1人誘えばXXよ!イェーイ!」とか私が実施した配信イベントや、さよさんが準備したグラフィックレコーディングなども「すごいすごい!最高ね!」と、まだ言葉を交わしたことがないたくさんの人が賞賛してくれました。

 

全く指示がなく、自分から動かない人への細かいフォローはないので、ゴールが明確化されていないと動きづらい人にとっては難しさを感じると思いますが、多国籍かつ多数の運営メンバーがいる場では、全員のパーソナリティを把握することは不可能です。言葉を交わしたことがない人へも信頼を持って接し、惜しみない賞賛を送る姿勢は不完全なまま走り切る大切な秘訣のように感じました。

日・英バイリンガル形式の場を成功させるヒント

今回のワークショップの経験は、私にとって今後やっていきたいことの可能性を体感する大きな体験でした。サークルCに参加してくださった方で、何名かと一緒に振り返りも実施したのですが、振り返りを行ったあと、更に「日本語・英語のバイリンガル形式のワークショップを成功させるには?」という観点からコメントを拾い、ボードを作成してみました。 こちらから自由に見ることができます。自由にコメントを書いたり、感想を空いているスペースに書いてみてください。

日本人は、国際ワークショップで勇気を出して参加しつつも肩身の狭い思いをしている人が多いのではないかと思っています。でもそんな私たちだからこそ、言語の壁を超えてコミュニケーションするアイデアは思いつきやすいはず。 今後も多国籍のワークショップはどんどん経験を積んでいきたい分野です。ぜひ機会がありましたらお声かけください。

この記事を書いた人

玄道 優子 ー 対話支援ファシリテーター

「難しい対話を見えやすく、触れやすく。小さな声を掬いやすく」自分の生きる場を他人任せにしない人に向けて、「これをやりたい!」を生み出せる場づくりを支援します。ITコンサルタントからキャリアチェンジ/多国籍やオンラインの場づくり/Miro革命出版準備中  /IAF Japan chapter 理事

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