英語が話せる=グローバルな人ではない!「日本語のまま」グローバルカンファレンスに参加する
2021年5月25日
英語は苦手だけど他国の人と対話する場に関心がある方へ
国際ワークショップに「日本語で」参加する!!
日本人の多くが「英語に自信がないから、他国の人と話してみたくても海外のワークショップには参加しづらい…」と感じているのではないでしょうか。私もその一人なのですが、同時に、昨今のオンライン化の流れとテクノロジーの発展が、その壁を低くしてくれるものだと信じています。
今回のFuture of work 24Hと言う取り組みはLineとAprilと言う2名の女性 (こちらのページのFounder参照)から始まったのですが、2人はインクルーシブな場づくりに関心が高く、英語以外の話者の人もぜひ参加してもらいたいということから、今回は2つのサークルでバイリンガル形式で実施となりました。
今回実施したのはオープンスペーステクノロジーと言う、話し合いたいテーマを自分たちで出して、自由にグループを作り、話し合いをするという方法。英語が苦手でも参加できるようにいろんな工夫をしてみました。
テクノロジー + ビジュアル化 (+わかり合いたいという気持ち!) = 新しいコミュニケーション!?
今回は、なるべく可視化 (絵などのイメージ化、テキスト化) をすることとアプリなどのツールの力を借りて、進めることを意識しました。例えば、ツールの使い方をイメージで準備したり、話している内容のキーワードをテキスト化したり。
また、インストラクションはPower pointのプレゼンテーション機能についている自動翻訳機能を使って、英語で話す(日本語字幕)+日本語で話す(英語字幕)で進めました。
他にも、事前にいくつかのアプリを検証し、良いと思ったもの3つを資料とともに準備しました。
今回いいなと思ってご紹介させていただいたのは下記の3つです。
- Power point プレゼンテーション ・・・話したものを画面上で字幕表示してくれる機能
- Microsoft translater ・・・話したものを、翻訳して音声を流してくれる機能、英語の文章を写メを取ると日本語に翻訳してくれる機能
- UDトーク・・・相手が話をしている音声を聞き取り、手元で字幕表示してくれる機能
こちらの記事でもご紹介しましたので、詳しくは別記事を読んでみてください。
日本語で話すテーマと英語で話すテーマを分ける
今回、イベントの大きなテーマはCo-Creating Our Future だったのですが、当日話し合いたいテーマは参加者自身に挙げてもらい、日本語で話したいか、英語で話したいかを選んもらいました。なので、日本語で話をしている間、英語話者の方がアプリを使ってその様子を聞いている、と言うのもOK。逆に、英語にトライしたい方は英語のテーマに参加してもOKという枠組みです。
個人的には、この国際的なワークショップで「日本語を堂々と話す」をやってみたかったので、実現できて嬉しかった取り組みの1つです。もしかしたら「日本人と日本語で話すなら、日本でやるワークショップと変わらないじゃん!」と思う方もいるかもしれません。
ですが、人が話す内容というのは無意識のうちに枠組みや環境に影響を受けるもの。会場に英語話者がいる中で、または話を聞いている人がいる中での会話は、より「日本語を話す人として」を意識させられます。この自分と捉える枠組みの広がりを体験することが多国籍の場に参加する醍醐味ではないでしょうか。
普段英語のワークショップに肩身の狭い思いをしながら参加している身としては、いつもと逆の現象(英語話者の方がマイノリティになる場面が発生)が起きたことにより、 暗に体験できていたらいいなとひっそり願っています。また、英語話者の方にも他国の人が英語のワークショップに参加する不便さを実感できていたら良いなぁと。
英語が話せる=グローバルな人ではない!!
私は20代の頃はIT系の仕事をしていたため、英語で仕事をするプロジェクトにも参加していましたし、海外出張なども行っていました。そこで感じたことですが、日本では英語ができるということを過剰に評価しすぎです。 例えば、そんなに仕事の内容が分かってなくても出張に行くメンバーは英語ができる人が優先で選ばれたり、資料を翻訳するという仕事が発生したり。
英語ができることと本業で優秀なことは違いますよね? よっぽど細かいニュアンスも英語で表現できるなら別ですが、大抵は母国語の方が細やかな表現ができ、自分の気持ちや考えを表すことができるもの。また、国際社会での日本の優位性は細やかなサービスや製品など、日本語で語り尽くして生まれているものではないでしょうか。
なので、たまに組織のミーティングで英語で実施されているところに参加することもあるのですが、英語で話すことに労力を割くのではなく、日本語で話し尽くして英語で伝達する方が効果的なのになぁと感じることが多いのが正直なところです。
英語禁止の世界は来るのか!?
場づくりにはファシリテーターの願いが現れる
ワークショップなどのイベントにはファシリテーターの価値観、態度が大きな影響を与えます。私は英語ができることがグローバルな人材ではないと思っていることと、母国語のままこの地球に生きる私を感じる体験が大切なので、上記のような設計で進めましたが、また別のファシリテーターが設計すると違った場になると思います。そして、当然私一人の想いで実現したのではなく、一緒にホストをしたチームのみんなのおかげで今回の場が実現しました。
特にファウンダーの2人 ( Line、April )はインクルーシブな場づくりに熱心で、彼女たちから今回バイリンガル形式で実施してみたいとオファーをもらいました。そして一緒にファシリテーターをしたMaria の心遣いは本当に素晴らしかったです。日本人の参加者が居心地良くなるように、私が日本語で話す時間を多くしてくれたり、一緒にアプリを調べてくれたり、事前リハーサルや個別の打ち合わせも納得いくまで実施してくれました。
そしてプロデューサー( 日本でいうテクニカルサポーター) のMoss も必要な情報を一緒に探してくれたり、自分なりに調べたことを送ってくれたり、ミーティングはいつも1番最初に来てくれたり、熱心に手厚くサポートしてくれました。英語話者の人の中には「無意識に」英語ファーストに考えている人もいますが、今回のチームメンバーは一貫して「英語が話せることがことが偉いことではない」を体現してくれたことが、日本人参加者への安心感にもつながっていたと思います。
こちらの別記事では、こういった大掛かりな国際ワークショップを実施するときのヒントを書いてみました。ご興味がある方がいらっしゃいましたら、ぜひ目を通してみてくださいね。