外部ファシリテーターはなぜ必要? あなたの組織でファシリテーターが役立つ5つの理由
2019年11月1日
外部のファシリテーターって何で必要なの? という方へ
ファシリテーターを呼ぶメリットとは
そもそも、自分の組織にお金を払ってファシリテーターを呼ぶメリットとは何でしょうか。 「自分の組織でファシリテーションを学ぶ人を増やせばいいんじゃない?」と感じる方もいるかもしれません。 今回は、実際に外部ファシリテーターとして仕事をする私から、こういうメリットがあるよというアピールをさせていただきます笑。
話し合う内容に集中できる
まず、1つ目は「参加者が話し合う内容に集中できる」ため、結果的に話し合いの質があがる、ということ。普段の話し合いって、みなさん無意識に話し合う内容(コンテント)と、話し合う手順(プロセス)、両方を扱っているんです。ここを意図的に話し合う内容だけに絞るという意味です。
進め方や、話し合いの最中に出てくる意見の意図を確認したり、合意できている点、できていない点を確認したり、プロセスを誰かに任せることは、参加者に余計なエネルギーを消耗させることを軽減するので、話し合いの質を高めます。 これは、特に進行役を経験したことがある人が理解しやすいメリットかもしれません。
リーダーが参加者になり、ランクが和らぐ
ファシリテーターを呼ぶメリットの1つは、全員が参加者になりきることができること、特にリーダーが完全に参加者になれることだと思っています。 また、組織ではリーダーが進行役をしていることも多く、また業務に関する情報もリーダーが多く持っているため、会議中の大部分をリーダーが話しているケースがよくあります。
話し合いは全員がフラットに話す方が意見が出やすくなりますが、年齢や役職の違いが発言に影響していることも多い。 そんな時、外部ファシリテーターが話し合い自体を進めることで、全員が同じ参加者という立場で話し合うことができます。ランク*の違いを完全に消すことはできませんが、少なくとも当事者同士が話すよりは、それをゆるめて話し合いをすることが可能になります。
その場の相対的な環境、関係性におけるパワーの高低の差。ランクが高い人はリラックスして自由にいれるのに対し、低い人は緊張したり、不安があったり発言しづらくなります。あくまで相対的なものなので、グループによって高低が変わります。
余談ですが、ランクは「低い人側から見えやすい」もの。「うちのチームでそういうランクの違いは感じないよ〜」という人はランクが高い人である可能性が高いということを心に留めておいてください。
プロセスを変えると、成果が変わる
みなさん、会議やチームの話し合いをどんな風に進めていますか。話し合いのプロセスを意図的に変える、設計すると話し合いの成果は大きく変わります。 分かりやすく伝えるために、大げさに書いてみますが、例えば「社内で行う、ある研修の内容を検討する話し合い」があったとします。
A. 集まって「どんな内容にしますか?何かアイデアある人〜?」という感じで全員で話す。 B. 研修が終わった後に、参加者にどうなっていてもらいたいかを1人3つずつ準備してきてもらう。 最初にそれ共有した後、そこへ向かうためにどんな方法が考えられるかを1人ずつ数分間考える時間をとり、3〜4名ずつで共有(近い職種や役職、視点の人同士)→グループを変える(今度は遠い職種などの違う人同士)→全員で話す。
話し合いの結果は異なりますよね。
全員が対話について熟練レベルでもない限り、同じ時間で話すなら、しっかり設計してあった方が効果は高くなる。 ファシリテーターはこういう、プロセスを考えるプロなので、「どんな風に話すか」は任せ、1つ目に書いたような「何を話すか」に集中したい時は、外部ファシリテーターの力を借りると良いでしょう。
新しい文化を持ち込みやすい
これは、外部のファシリテーターを呼ぶ最大の利点の1つとも言えますが、「これまでやったことがない方法を取り入れやすい」というのは大きなメリットです。 チームや組織には本人たちが気づいている、いないに関わらず、独自の文化、習慣、コミュニケーションがあります。よって、その組織内の人が、新しい、特にこれまでの文脈と異なることを取り入れることは、より難しいんですね。
ある意味、「外国人」が来て「これをやってみましょう」という方が、「やってみようかな」になりやすいケースもある。(同じく、分かっていない人に言われたくないこともありますから、同時に考慮する必要があります)
私は「双方向的に話し合える場」を提供する人なので、例えば過去にも「これまでどちらかというと『教える』研修や、集まりしか経験をしたことがないけれど、この部署の社員でお互いに話し合う時間にしてみたい」という組織の方が「対話形式にトライしてみたい」ときにお声かけいただくことが多いのですが、これは外部の人の方が新しい文化を持ち込みやすいという利点を考えて、だと捉えています。
難しい状況のときに、話せる状況を作り出すことができる
普通の会議で外部ファシリテーターを呼ぼうというのは、よっぽどのケースでなければありませんが、ファシリテーターが呼ばれやすいシーンがあります。 それは、「既に状況が良くないことが明らかなとき」 例えば、
- 部署や組織を統合して、それぞれの文化が統合できておらず、不調和な雰囲気
- 事業再生、リストラに伴う経営者の入れ替え
- 明らかにコミュニケーションが取れていない、良くない
課題であることが明らかになっており、自分たちで話し合うことも難しいのでは?というときは、自分たちで必要性を理解できるため、外部ファシリテーターに声がかかりやすくなります。(私の仕事の中でも、システムコーチングは、これらの状況の時にお声かけいただくことが多いです)
それぞれのファシリテーターの学習分野、実践、経験歴にもよりますが、話し合いのファシリテーションをしている方なら、あまり良くない状況の時の話し合いでもニュートラルに話し合える状況を作ってくれるでしょう。
ファシリテーターはカメラマンのようなもの?
個人的に、外部ファシリテーターはカメラマンのようなものだなと感じることがあります。 「話し合いって自分たちで出来るじゃん!」って思われがちなんですよね。 もちろん、自分たちで出来ます。でも、誰でも携帯で素晴らしく画質の高い写真が撮れるにも関わらず、カメラマンという職業って無くなっていません。
写真は誰でも撮れるけれど、カメラマンは光の加減や絞りや構図を瞬時に細かく考えてシャッターを押すことで、素人が取れない作品になりますよね? ファシリテーターも似たようなところがあります。
話し合いの進行は自己流で誰でも出来ますが、ファシリテーションを仕事にするくらいのレベルの人なら大抵、部屋の使い方、問いかけ、付箋の配置やペンの色や使い方、自分の立つ位置まで瞬時に考えて判断しています。でも他の人にはそこまで考えているように見えないので、一見自己流で進めている人との差が分かりづらい。
ですが、実践・経験値が高いファシリテーターであればあるほど、話し合いに何が影響しているのかを細かく観察、分析、仮説を立てて介入をしています。 プロの技術があると伝わりづらい(?)分野かもしれませんが、勉強してる人はしてるんだよということを一応、主張しておきます笑。
本当は「外部」じゃない、広い意味でのパートナー
ここまで、便宜上「外部ファシリテーター」という言葉を使って説明しましたが、私は自分のことは契約させていただく組織の「外部の人」とは思っていません。
どんな組織でも関わらせてもらうのは縁があるからだし、組織は「いろんなグラデーションの人が支える方が持続的」と考えています。週5回コミットする人がいても良いし、月に数回少しだけ文化の外側から後押しするような存在がいてもいいのではないでしょうか。
私は契約している企業の方から、「うちの事情が全く分からない人ではない人(でも、浸かりすぎていない人)に、定期的に話を聞いてもらえるのはなんだかちょっと、楽になる」と言われたことがあり、そういう存在になれることを意識していますし、広い意味でその組織の社員だと思って仕事をしています。 結局、同じ社会に生きる仲間ですし、ちょっと関わる頻度が低いからって「外部」って切り離さなくてもいいのではないでしょうか。
広い意味で、パートナーとして、一緒に働ける組織を、私はこれからも探し続けていこうと思います。また、ファシリテーターを呼ぶってこんなメリットがあるんだよということが少しでも伝わったら嬉しいです。