ファシリテーターって何をするの? プロのファシリテーターに必要な3つのスキル+α

2019年10月30日

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ファシリテーターって何する人なの?という方へ

今回は、ファシリテーターとして仕事をするにはどんなスキルが必要なのかについてご紹介します。あくまで私自身が意識しているポイントなのですが、よく「仕事でどんなことをしているの?」と聞かれるので、まとめてみました。

ファシリテーターって何する人?

ファシリテーターとは、ものすごく簡単に表現すると物事を簡単にする、促進する、支援する人のこと。 よって、イベントの進行をする人のことをファシリテーターと言ったり、会議を進行する人のことをファシリテーターと言ったり、その人が何をファシリテート (=促進したい ) したいのかによってその意味合いが異なります。

私自身、誰かが「ファシリテーターです」と自己紹介していたら、「なんのファシリテーションをする方ですか?」と聞きますし、自分が聞かれたら「組織の大切な話し合いのファシリテーションをしています」とか「対話や本音を聞きあえる関係性を育むためのファシリテーターです」と答えています。 ( 肩書きにも「対話支援」とつけていますし! ) 実施にしている仕事も組織のチーム・部署・全社ミーティングの設計や進行、特定のチームの定期的なミーティングの支援、経営者のチームビルディングです。

この仕事を始めてから「ファシリテーターって何をしているんですか?」と100万回くらい聞かれているんじゃなかろうか・・・というくらい(笑)、よく聞かれるこの質問。もちろん細かいスキルは上げたらキリがないのですが、仕事としてやっていく上で私自身が特にこのスキルを意識している、ということを3つ、、いえ4つ(実は4つ目が最も大切!) ご紹介します。

こちらの動画でも簡単に話しているので、気になる方はこちらも合わせてご覧ください。

プロとして仕事にしたいなら、このスキルはマスト

プロセスデザイン力

これは「コンサルティング力」とも言えるのですが、話し合いの場を開くときの始めから終わりまでの、全体のプロセスをデザインする力のこと。

  • どんな背景があって話し合いの場を持ちたいと思ったのか
  • 時間が終わったらどんな状態を目指したいのか
  • これまでどんな取り組みをして、それはどんな結果だったのか
  • 何を取り入れたくて、そこにどんな懸念があるのか
  • 何が起きたら理想的と言えるのか

など、現状とゴールを明らかにすることと、当日を迎えるまでに、どのような流れ、役割分担をして進め、終わった後は何を残して、どんなフォローアップまでを実施するのかを、しっかり提案、明示して、お客さんと安心感を持って進めていくための力です。

ファシリテーターの中には、「ただ、技術だけを磨いて、誰かから仕事を依頼されるのを待っている」という人がいるのですが、もし独立して働きたいなら、相手の状況を見極めて、自分の何を提供できるのか、できないのかを見極める力はとても大切。自分自身がこの力が弱いと感じるなら、コーディネートがうまい人にお願いするか、力を活かせる環境がある組織に属するのが良いでしょう。

プログラムデザイン力

2つ目はプログラムをデザインする力。ワークショップデザイン、とも言えるかもしれません。(必ずしもワークショップとは限らないので、私の場合はプログラムデザインと表現しています)

例えば、

  • 新しい部署になったばかりなので、お互いの相互理解ができる時間にしたい
  • 参加者に新しい業務への自分なりの視点を掴んで欲しい

こういう依頼があった場合、どんなプログラムを行うことが効果的だと思いますか。 経験が増えれば増えるほど、提案できる手数も増えますし、全体のプログラムの質を高めることができるようになります。 もちろん、この状況に「これが正解です」というものはないので、日頃から自分なりにこのワークはどんな時に効果的なのか、このワークの後に何をするのが効果的なのかということを考えて、自分のものにしておく必要があります。

ファシリテーターというと一番わかりやすいのが進行をしているシーンなので、ファシリテーター = 話し合いを進行する人 と捉えている人もいると思います。もちろん、そういう方もいるのですが、多くの場合は話し合いの場の設計をすることもファシリテーション技術の1つ。

日々、他のファシリテーターが設計する場に参加したり、本を読んだり、いろんなワークショップがまとまっているサイトを見てどんな風に活用するかを考えたりしています。

場を進行し、介入する力

3つ目は、これが最もイメージしやすいファシリテーターの姿かと思いますが、当日の進行をしたり、必要な時に介入をする力です。 分かりやすく進行することはもちろんのこと、場の流れを見て言葉を足したり、問いかけたり、当日のゴールに向けて進みやすいようにその場へ働きかける力を指します。

「その場へ働きかける力」と書いたのは、その場がゴールに向かって進みやすくなるようにするために必要なことは、必ずしも声をかけるだけに留まらないからです。 次のワークのために備品を準備することかもしれませんし、模造紙を貼り直すことかもしれませんし、参加者が質問があった時に声がかけやすいように会場を動き回っていることかもしれません。

イベントやワークショップなどのファシリテーターに注目してみて、その人の振る舞いがその場にどんな影響を与えていると思うかを考えてみると分かりやすいでしょう。

でも、本当に必要なのは「熱意を持って価値を伝える力」かもしれない

上記3つに加え、あなたが独立したファシリテーターになりたいなら、最も大切な力は「他者から見たファシリテーションの価値を伝える力」です。 私の周りには「ファシリテーターです」と名乗る人は山のようにいますが、独立して仕事をしているファシリテーターはほんの僅か。 多くのファシリテーターは「自分の技術を磨くこと」については努力しているのですが、「相手に価値を伝える努力」はあまりしていない印象を持っています。

仕事のうち、お客さん側が必要性を理解して、発注する力が高い場合とそうでない場合があり、ファシリテーターを雇うことはまだ後者に当てはまる状況ではないでしょうか。 だからこそ、仕事にしたいなら、あなたのファシリテーション力は誰のどんな状況に役立てることができるのか? をくどいほど伝え続けなければなりません。 あなたがファシリテーターなら、どんなシーンで「あ、XXさんに相談しよう」と思ってもらえる存在なのか、これを考え、伝え続けましょう。

ちなみに、私自身は「場を双方向的にする設計が得意で、その場にいる人同士で話し合い、学び合う場にしたいときに役に立てます」とか「もう一歩本音を聴き合いたい状況の時に (*いつ?と思うかもしれませんが、事業統合したとかリストラしたとか、あまりよくない状況の時の話し合いはファシリテーターが呼ばれやすいです) 冷静に話しあいを進めることが出来ます」と伝え、過去に実際に担当した案件の事例をできる範囲で発信するように心がけています。

自分でワークショップを主催し、その様子をブログなどに書くのもいいですね。他者に「こんな場を開く人なんだ」という体感をしてもらえたら、それが必要そうなシーンで思い出してもらえる可能性が高まりますし、ブログがあると他人があなたのことを紹介しやすくなるからです

誰に何を届けたくて、ファシリテーションという手段を選んでいるの?

どんな仕事もそうですが、あなたがしていることはその先にあるミッションやゴールを達成するための手段でしかありません。

手段だけに目を奪われず、定期的に「何のためにこれをしたいのか?」と振り返りましょう。 私は対話支援、と書いてある通り対話をするときにファシリテーションが活かせると思って学びましたし、対話をなぜしたいかというと、自分が他者と深い心のつながりのある関係の中に生きていきたいからです。

自分の声を聞き、ちゃんと自分を慈しんだり、自分へ優しさを発揮できる人を増やしたい。 それが他者への優しさにつながると考えていて、それが自分の名前にもある使命かなと思っています。そして、だからこそ飽きることなく発信を続けている訳ですね。(前のブログから数えると6年くらい続けてます)

「何のために目の前の手段を選んでいるのか?」

結局、これがないとどんなスキルを身につけても、それを社会に届ける努力をするまでの熱意が出ないのです。スキルがあるのは大事。でも仕事にしたければ熱意を持って伝える力も同じくらい大切なこと。

いろんな対話をする場が社会に増えたら嬉しいので、社会にもっといろんな分野のファシリテーターが増えたらいいなと思っていますし、その方に向けてこの記事がお役に立ちましたら嬉しいです。

関心がある方はこちらもどうぞ!

https://dialogue-facilitator.com/blog/facilitation/20191101.html

この記事を書いた人

玄道 優子 ー 対話支援ファシリテーター

「難しい対話を見えやすく、触れやすく。小さな声を掬いやすく」自分の生きる場を他人任せにしない人に向けて、「これをやりたい!」を生み出せる場づくりを支援します。ITコンサルタントからキャリアチェンジ/多国籍やオンラインの場づくり/Miro革命出版準備中  /IAF Japan chapter 理事

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