ファシリテーションが上手くなりたい!という方へ ファシリテーションとは何をすることかを考える

2020年10月16日

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ファシリテーションが上手くなりたいという方へ

私は人によく「ファシリテーションが上手くなるにはどうすれば良いですか?」と聞かれます。そんな時、私は「『ファシリテーションが上手い』とは何ができる人のことだと思いますか?」と聞くようにしています。というのも、人によって「ファシリテーション」と聞いて連想するイメージって異なるので、私のイメージするファシリテーションの上達方法を伝えても、相手の役に立つとは限らないからです。今回は、私なりにファシリテーションとは何をすることなのかを掘り下げてみたいと思います。

ファシリテーションとは具体的に何をすることか?

ファシリテーションとは、それを使う人の数だけ定義があると言っても過言ではない言葉ではないでしょうか。人によっては「イベントなどで前に出て、司会をすること」だと思っていますし、ある人は会議の「話し合いを進行すること」だと思っています。ある人にとっては「皆に問いかけをすること」で、またある人によっては「話し合いをまとめていくこと」だと言う人もいるでしょう。それどころか私のように「話し合い方法を設計すること」もファシリテーションだと思っている人もいます。

私が考えるファシリテーションとは大きく分けると現状と、目指したい方向性、場所を明らかにしていく力 (=質問力) 、目指したい方向へどのように進んでいくのが良さそうか、その道のりを計画できる力 (=設計力)、その道のりをわかりやすく示し (=進行力)、その道のりを進んでいく中で実りが多くなるように関わる力 (=場に介入する力や、問いかけ力) などを総合した力のことだと捉えています。

 

「ファシリテーションが上手くなりたい」と言う人は上記のどの力を伸ばしたいと思っているのかを考えてみると良いかもしれません。

「ファシリテーションが上手い」を構成する力

 

「ファシリテーションが上手い」を構成するのはいくつかの力が組み合わさっていると書きましたが、全ての土台になっているのは観察力別記事にも書いたことがあるのですが、多くのファシリテーターは観察力が高く、話し合い・場に何が影響しているかに仮説を立てられる力が高いです。 ( & あまり一般的には知られていないのですが、そういった力を高めるためのトレーニングもあります。) 

 

今、目の前で起きている事実をそのまま見て、聞く力や、そこから受ける自分自身の内面を感じること。つまり今起きていることを内面・外面両方から観察する力が土台となり、観察した情報を元に場を設計したり、次の働きかけ方を考えたりしています。

 

観察力という土台があり、ファシリテーションを支える質問力・設計力・進行力・問いかけ力があります。ファシリテーターにはいろんなタイプの人がいますが、だいたいこれらのどれかの力が秀でているのではないでしょうか。(例えば、楽しく進行するのが上手いとか、鋭い問いかけをするのに長けているとか、安心安全な設計をする力があるとか) 

それぞれの力をどうやって伸ばす!?

それでは、それぞれの力はどうやって伸ばすのでしょうか。私自身いろいろ本を読んだり、講座に出たりしているのですが、読んでくださっている方の参考までに、私自身が役だったな感じる本や方法を書いてみますね。

質問力を高める

ここで言う質問力とは、相手の言語化を助ける聞き方としますが、個人的には対話型ファシリテーションの手ほどきという本がおすすめです。  役立った講座は日本で開催数が少ないのですが、ToP Facilitationトレーニング  かな。 ( トレーニングの中で使われるORID について以前、別ブログに書いたのでエッセンスを知りたい方はこちらへ )  あとは他の人がしている質問の仕方を見て取り入れていっている部分が大きいですね。

設計力を高める

設計力を高めるのに最も役立ったのは、誰かと一緒にプログラム設計をする経験を積むことですね。最初はプログラム設計が上手い人を手伝えるようなチームに入るなどから始めて「このワークはどういう意図で行っているのか」の理解に努めるのが第一歩。実力がある人ほど、設計にはきちんと意図があるはずだからです。 

 

また、ある程度のレベルになってからはコファシリ (=ペアで設計・進行) する経験が設計力を高めるのに役立ちました。更に、プログラム設計が上手いファシリテーターの場に積極的に参加するようにもしていますし、Session Labのようなページもよく読んでいます。  

 

周りには青学のワークショップデザイナー育成プログラムに参加している人が多いみたい。(ただ、私自身は行ったことがないので個人的におすすめという訳ではないです)

進行力を高める

これは、他の人の進め方を見て学んでいます。この進め方、この説明の仕方良いなと思ったら積極的に取り入れるようにしていますね。いろんな場に参加して、自分だったらこう進めてみたいと考えてみたり、いろんな進行の仕方を体験することが大事。

もちろんどんな人からも学ぶことはできますが、自分の場に取り入れやすいのは「自分とタイプが近そうなファシリテーター」の場かな。 ( 一度、メキシコ人のファシリテーターの場に参加して、ワークショップの最初になぜか踊ったのですが(笑)、楽しかったけれど「これは私はできん…」と思いました ) 

問いかけ力を高める

ここでいう問いかけ力は、自分の中で視点を変えたり新たな発想が生まれやすい聞き方としています。私自身が何度も読んだのは The art of powerful questions  という資料。エッセンスを日本語で記事にしたことがあるので、気になる方はそちらをどうぞ。 最近読んだ本だと問いのデザイン:創造的対話のファシリテーション  も問いかけが変わると人の発想・視点がどう変わるのかの具体例が多くて分かりやすかったです。

自分への影響を観察し、関わり方を考えてみる

ここまでいろいろと書きましたが、「最も簡単かつ着実な実力のつけ方は何?」と聞かれたら、いろんな場に参加してそこで「自分に起きることを観察する」ことだと考えています。

 

自分が発言してみようと感じたのなら、「何が影響して話したいと感じたのか?」

話づらいなと感じたなら「何が影響して話づらいと感じているのか?」

この人の進め方分かりやすいなと思うなら「何をしているから(または何をしていないから) 分かりやすいのだろうか?」

 

自分自身に何が影響しているのかを捉えること。  人は千差万別なので、全ての人の捉え方を認識し、全員を満足させることは難しいですが、少なくとも「自分自身が参加者の場合、自分は安心して楽しく参加できそうか?」は徹底的に考えてみてください。そうすることで、自分と近いタイプの人は満足してくれる確率が高まりますし、何より「自分らしい」場がつくれるようになります。

 

ファシリテーターの面白さの1つは「その人らしい場」にファンがつくことではないでしょうか。私自身「この人の場は必ず、いろんな人が参加しやすいように設計されているはずだから参加しよう 」とか「あの人の場は毎回楽しいから参加したい」と思い浮かぶ人がいますし、自分もそう思ってもらえるような場づくりをしたいと思っています。

終わりに

今回の記事では、私が考えるファシリテーション力の高め方を紹介してみました。もちろん「プロになるレベル」を目指すならもう少し難しい本やマニアックなトレーニング(?)もあるのですが、一般的には上記の方法で十分です。「ファシリテーション力をもっと高めたいな」という方へ、この記事が少しでも役立ったら嬉しいです。そしていつか、あなたの主催する場に参加させてくださいね。

 

 

※ファシリテーションそのものの感覚をもう少し捉えたい方はこちらの記事もどうぞ。

ファシリテーションとトレーニングはどう違う? ファシリテーションを知りたいあなたに伝えたい5つの違い

この記事を書いた人

玄道 優子 ー 対話支援ファシリテーター

「難しい対話を見えやすく、触れやすく。小さな声を掬いやすく」自分の生きる場を他人任せにしない人に向けて、「これをやりたい!」を生み出せる場づくりを支援します。ITコンサルタントからキャリアチェンジ/多国籍やオンラインの場づくり/Miro革命出版準備中  /IAF Japan chapter 理事

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