ウェルビーイングを高めるためには? 自分にとっての心地よさや幸せを探求する

2020年8月17日

\ ぜひお気軽にシェアしてください /

ウェルビーイングって何? という方へ

今回は関わらせていただいているプログラムのご紹介です。北海道大学の教育プログラムとして開催している、ウェルビーイングを探求するプロジェクト。コアチームとして全体の設計やプログラムのデザインのサポートをさせていただいています。日常の「心地よさ」や「幸せ」な状態に意識的でありたい方、ウェルビーイングって何?という方、ぜひご覧になってみてください。

ウェルビーイングって何ですか? 身体と心を共に大切にする生き方を探求する

突然ですが、ウェルビーイングって何かご存知ですか? 直訳するとWell(=良い) Being(在り方)で、良い状態のことを意味します。身体的、精神的、社会的に健やかに過ごせている状態のことだったり、より内面的に満ちている状態だったり、幸福と近い意味で捉えられている言葉です。  

 

私自身は、心地よさや、幸せを感じる状態など内面的な状態を大切にできている状態のことだと捉えていますが、自分にとってのウェルビーイングは一人ひとりが探求していくものでもあると思っています。 というのも、「自分にとって良い状態とは?」ってわざわざ意識的になろうとしている人ってあまり多くないですよね。

 

このプロジェクトはウェルビーイングを一つの切り口として探求し、それを大切にしあえるためにはどんなことをしていこうか?と行動を考えたり、一緒にやってみたりをしていくプロジェクトです。(3年間実施予定ですが、1年ずつ完結型なので、今年はコアチームを含めて26名の皆さんとご一緒しています)  

 

私はコアチームのうちの1人で、全体の進め方や各回のプログラムの進め方などを一緒に考えたり、創っていったりしています。普段は企業の仕事が多いため、今回少し違った形式で場を作ることに関わることができてとても楽しく進めています。

 

 

ぜひ呼びかけ人の1人のさよさんの記事も読んでみてください。

一緒に創り、学びのプロセスを開示する

今回のプログラムは全5回で、現在オンラインで進めています。呼びかけ人は2人 (さよさんと北海道大学の山中教授 ) +コアチームに3名 +参加しながら当日のサポートをしてくれる人がいたり、参加者の方がその後レポートやグラフィックレコーディングを提供してくれたり、プログラムの合間に自主勉強会をしたりと盛りだくさん。

 
 

参加の幅がたくさんある方が、やりたいことを見つけやすくなると考えているので、関わる機会をたくさん創りながら進んでいる点がこのプログラムの好きなところです。 また、講座で使用した資料や学びのアーカイブボードが公開されているので、ぜひどんな内容を実施しているのか気になる方は目を通してみてください。

Padletというツールを使ってアーカイブ用のボードを創っています。
 
 

こういう学びの一端が公開されていくことも、すごく良いことだなと思います。 何となくやっていることが分かったり、こういう学び方をしているのかというのが伝わることで、関心を持つ人も増えてきますし、広く知ってもらう機会を作ることで、「実際に体験しながら学びたい」という人も増えてきます。

 
 
ボードに書かれている動画や本から関心を持って自分で見てみたり、読んでみたりするのも面白いですし、学び方に選択肢を作る方法として今回のように「一緒に創って、学びのプロセスを開示する」というのは今後も実践していきたい方法です。
 

ウェルビーイングを高めるには、自律的な苦労を取り戻すこと!?

私は自分を知るためには自律的な苦労を取り戻すことが大切だと思っています。 「ウェルビーイングってこういうものらしいよ」と調査、定義されているものを知るだけではなく、「それって自分にとっては本当にそうかな?」 「もっとこんな可能性はない?」「もっとお互いのウェルビーイングを大切にするにはどうすればいいかな?」というように、わざわざ話したり、聞いたり、やってみたりすること。

 

わざわざ自分にとって気持ちの良い状態、精神的に健やかな状態、豊かで幸せを感じる状態について知ろうとすること。これが、ウェルビーイングを高めることだと考えています。

 

先日このプロジェクトの自主勉強会で「わたしたちのウェルビーイングをつくりあうために その思想、実践、技術」という本の読書会をしたのですが、その本の中に下記のような文章がありました。

 

北海道の浦河町にさまざまな精神疾患を抱える人々が共同生活をしながら当事者研究をする「ベてるの家」という施設があります。この当事者研究とは、自らの病理を自らが相対化し、他者と共有することで、社会生活を営む力を取り戻す作用があるのですが、同じように健常者も自分のウェルビーイングの当事者研究を行えばいいのではないかと考えるようになったのだ。

 

私たちの社会は便利になり、既に多くの物事を誰かが苦労して分かりやすく、使いやすくしてくれています。それはとても有り難いことではありますが、自律的に苦労する喜びを感じる機会が少ない社会とも言えるかもしれません。

 

例えば、緊急事態宣言中に、私を含め周りでベランダ菜園などを始める人が多かったのですが、これはハーブやちょっとした葉野菜を作るという苦労を感じる一つの手段ではないでしょうか。もちろん、スーパーで購入することも有り難いことですが、植物が育っていく様子を見ながら水を上げ、当たる日光を調整したりする手間から、私たちはウェルビーイングを感じることができるのです。

 

個人的により探求したい、ウェルビーイング

私自身は結構、内省好きということもあって積極的に自分にとっての幸せは探求してきたつもりです。 ただ、せっかくこのプロジェクトに関わらせてもらう以上、自分なりにもっと探求してみたい部分をここまでに探してみました。

 

日本人にとってのウェルビーイングとは?

一つ目は日本人にとってのウェルビーイングです。 これも上記に書いた本に書かれているのですが、アメリカなどの個人主義でのウェルビーイングの捉え方、日本ならではのウェルビーイングの捉え方の違いを知ることがすごく興味深いです。 というのもたまに海外のカンファレンスやセミナーに参加していて、日本人ならではの良さは他の国の人にどんな風に伝えたらいいのかなぁと感じていたから。

 

日米における感情の構造を比較すると、米国型では感情は個人の中に湧くもので、日本型は人と人の間に湧くと捉えられているそうです。日本語は英語より2.6倍相槌が多かったり (=他者との境界を積極的にぼかす)、他人の死を自分の一部が枯れると捉えたり、ウェルビーイングを感じる要素としても他者との関連が高くなるのだそう。

 

この辺りはもっと探求して言語化ができると、「私たちはこういうことを大切にしているんです」と他国の人に伝えることができるようになり、お互いの「根の部分」を理解しあえるようになるんじゃないかなと期待しているところです。

 

 

この、コーチングなどでよく使われる「答えはあなたの中にあります」という表現も、少し個人主義の国よりの発想だったんだなぁと気づくことができたのは非常に面白い発見でした。

 

ウェルビーイングという視点を取り入れたテクノロジー

2つ目は、ウェルビーイングという視点を取り入れたテクノロジーです。 多くのテクノロジーは効率的であるように設計はされていますが、ウェルビーイングをサポートするものとして設計したり、その視点を取り入れているものはまだ少ないのではないでしょうか。

 

今の日本社会で使われているSNSなどのコミュニケーションツールの多くは、主にアメリカで設計された「個」の意識が強いものなので、日本人ならではのウェルビーイングの視点を取り入れたテクノロジーはとても可能性がある分野だと思っています。  

 

 

私が個人的にウェルビーイングを感じさせてくれるツールとして好きなのはPadletというオンラインのボード。日替わりでメッセージが表示されたり、 (Happy Friday!とかGentely reminder: You’re beautiful とか ) 使っていて前向きな気持ちになってくるような表現が散りばめられています。調べてみたら運営チームの中にはアジア人が多いですが、関係あるのかな…!?

 

 

まだこれから探求が続くプロジェクトなのですが、私自身も一緒に学びながら、そしてこれを機にオンラインでのウェルビーイングを大切にした場づくりを実践していきたいと思っています。

 

 

   自主勉強会で読んだ本がこちら。ウェルビーイングはいくつか本を読み進めていますが、個人的には「私たちの幸せ」に重きが置かれているこの本が最も好きです。わざわざ本を読むほどでもないけど、なんとなく内容を知りたい方はこちらの記事が参考になるかも。

この記事を書いた人

玄道 優子 ー 対話支援ファシリテーター

「難しい対話を見えやすく、触れやすく。小さな声を掬いやすく」自分の生きる場を他人任せにしない人に向けて、「これをやりたい!」を生み出せる場づくりを支援します。ITコンサルタントからキャリアチェンジ/多国籍やオンラインの場づくり/Miro革命出版準備中  /IAF Japan chapter 理事

\ ぜひお気軽にシェアしてください /