IAF理事田原さんに聞く デジタルファシリテーション構想とファシリテーターの未来(前半)

2021年1月18日

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新型コロナはファシリテーションをどう変えたのか?

最近、IAFJapanの理事であり、Zoom革命の著者としても有名な田原さんと配信イベントを実施しました。昨今の急速なオンライン化の影響で、自分のファシリテーションはどんどん変化し、意味を広げている印象があったのですが、その辺り田原さんは豊富な実践経験をお持ちで、かつ言語化して他の人に知見を共有できる段階にある方です。私自身も勉強しつつ、でもいろんな人にも聞いてもらいたいなと思って主催させていただきました。配信のイベントは2回に分けて行ったのですが、この記事では1回目の内容を簡単にご紹介させていただきます。(最後に配信された動画もあるので、見てみたい方は一番下へ!)

ファシリテーションの主眼はイベントからプロセスデザインへ

2020年のオンライン化の波によって大きく仕事の進め方が変わったのは、多くのファシリテーターが実感しているところではないかと思います。 中でも大きな変化は「イベントからプロセスデザインがより重視されるようになった」ことではないでしょうか。

まず、このことを説明するためにこちらのイメージを見てください。

これは、私が自分が「ファシリテーション」という言葉を使う時にどこまでの範囲をどういう濃淡で使っているかを伝えるために毎回紹介する図です。 多くの人はファシリテーションのことを3つ目のことだと捉えていますし、少しファシリテーションについて勉強をしたことがある人だと2も含めてファシリテーションとしているでしょう。

 

私自身はもう少し広めの範囲でファシリテーションという言葉を使っているのですが、オンライン化に伴い、これまで以上に1や2の重要性が高まってきている印象を持っています。

 

例えば、これまで1日対面で実施していた研修をオンラインで実施する時に

 

・そのまま1日オンラインで実施する
・半日×2回 +間に1回小グループで話し合いをする

というようにそのまま実施する人と、プロセスそのものを提案し直す人がいるのではないでしょうか。この提案は私のやり方の1つなのですが、田原さんも同じように4泊5日の対面合宿を、オンラインを含めた半年のプログラムに設計し直すなどの検証を行っているそうです。

 

オンラインって対面より疲れる*んですよね…  また合宿形式をそのままオンラインで実施というのも、オンラインは暮らしの中の一部として参加する以上、あまり現実的とは言えません。

 

もちろん、1日の研修や4泊5日の対面合宿も前後のプロセスデザインやプログラムの設計は必要なのですが、オンライン化に伴いより中〜長期的に歩み方をデザインできる力が必要になってきています。

 

*<参考> 

Zoom疲れの理由・オンラインミーティングではナゼ疲れるのか?

ネイティブオンラインファシリテーターからの視座

田原さん自身はマレーシア在住歴10年目の方で、そもそもファシリテーションをする場がオンラインであることの方がスタートだったそうです。  オンラインの場づくりに関しては私たちの何倍も試行錯誤と実践をされていますが、その中でオンラインの場は反転学習を基本とし、オンラインの場は集まって省察、概念化をしていくのが効果的なのではないかとおっしゃっていました。

 

講座をやるときも1時間半〜2時間のオンラインの場を繰り返して1〜2ヶ月かけてやるそうです。オンラインの場で一方的に講師の話を聞いているのは結構、しんどいという体感から、講義の内容や課題は事前に動画で提示し、振り返りやディスカッションを集まって実施する構成にする方が多いそう。

 

<参考> コンテントとプロセス

オンラインでは対面より動機付けが難しいため、( 対面は来てしまった以上、やるしかないという側面がありますよね… ) お互いが素直に自分のことを語ることができるような関係性の構築に力を入れながらコンテンツ、つまり講義の内容や課題の振り返りを扱っていきます。

 

前半はプロセスの振り返りを重点的に行うことで、参加者同士の関係性が構築されていき、参加のモチベーションが外発(やらなきゃ…) →共創(このメンバーでやっていくか!)に切り替わったときに、一気にコンテンツの学びも加速していくという訳です。

 

普段の私たちは無意識に “イケてる自分” を他の人に見せています。その社会化された自分自身を捨て去ることができ、在りのままの自分で学びあえることが分かってくると講座の内容の話し合いの深さや、強めのフィードバックも受け止めあって学びあうことができるのです。

 

私も現在進行形で、オンラインのプロジェクトや学びの場を主催したりしていますが、これにはものすごく同意!  なんとなくコンテンツを進めるというのは対面ではできてもオンラインだと難しい。 この1年、オンラインの場の経験を積み重ねている人は実感するところだと思います。

出現を扱うファシリテーター

この「どんな状況になっても、在りのままの自分を表現することによって、そこに立ち現れる真実から皆が学べる」という状況をいかにファシリテーターが創り出せるか?がこれからのファシリテーターの肝なのではないでしょうか。

 

例えば、講座を実施したときに事前の課題をやって来ていなかった人がいたとします。でも、課題をやらずに参加しているという状況も貴重な学びの材料として扱うことができれば、その場で起きていることの一つとして認め、学びのオーナーシップを持ってもらうことも可能なはず。

 

課題をやって来ていない中参加するときの気持ちを共有したり、やっていないという体験から見えることを場に返すことだってできる。つまり、ファシリテーターの在り方と進め方で、課題をやっていない=学べない、にするのではなく「状況から皆で学び合う」につなげていくことは十分可能なのです。

 

そうすると課題をやって来ていない人がいたからこその学びが起きて、お互いに貢献感を持てたり、参加している意味を感じることができ、学びへのモチベーションが高まる。これが学びのモチベーションが外発→共創へ移り変わっていく流れです。これを同期・非同期の両面からプロセスを検討して、場を作り出していくのがこれからのファシリテーターにとって求められることなのかもしれません。

 

田原さんがご紹介くださった同期・非同期の両面から検討するデジタルファシリテーションについて

 

配信された動画はこちら!

冒頭でも書きましたが、今回の記事は下記の配信イベントで話された内容の概要をテキストでも読めるように記事化したものです。全てをテキスト化しているわけではないので、上記を読んでみて関心が湧いた方はぜひこちらの配信動画を見てみてください。

 

※分かりやすいように大体の内容のタイムラインを載せておきます!

配信開始は4分45秒から! 最初の時間は準備中につき無言です。

04:45 はじめに (自己紹介&今回の背景)
12:23 オンライン化に伴うファシリテーションの変化
22:24 オンラインで講座をやるときのポイント
32:34 プロセスの振り返りとコンテントの振り返り
38:23 生命論的世界観と ‘出現’ について
43:16 デジタルファシリテーション
*44:42〜47:16の間回線落ちしてしまってます🙇‍♀️
48:55 デジタルファシリテーションの全体図

この記事を書いた人

玄道 優子 ー 対話支援ファシリテーター

「難しい対話を見えやすく、触れやすく。小さな声を掬いやすく」自分の生きる場を他人任せにしない人に向けて、「これをやりたい!」を生み出せる場づくりを支援します。ITコンサルタントからキャリアチェンジ/多国籍やオンラインの場づくり/Miro革命出版準備中  /IAF Japan chapter 理事

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