オンラインワークショップのコツって何? 私が意識しているポイントをご紹介
2020年4月21日
オンラインのワークショップを開催したいという方へ
オンラインワークショップは開拓し放題!?
現在、多くのファシリテーターや研修講師の方など、対面でグループを相手に仕事をしていた人がオンラインに切り替えています。私自身もオンラインにできるものはオンラインに切り替えたり、新たにオンラインならではのワークショップを開発していますが、今回は私自身がオンラインのワークショップを開くときに意識していることをいくつかご紹介したいと思います。
個人的には、オンラインのワークショップは開拓し放題な領域だと思っていて、プロセス設計が大好きなわたしとしてはとっても楽しい領域だったりします。現在のオンラインのワークショップはツールを試す場だったり、対面でやっていたものを無理やりオンラインでやろうとしたりしているものが多いのですが、オンラインはオンラインならではの良さもあるので、一旦対面でやっていたことは忘れ去ってオンラインならではのプロセスを設計し直す方が効果的。
まだゼロベースでオンラインのワークショップや場づくりを考え尽くされている場は少ない気がするので、私も実践を繰り返してますます腕をあげたいと思っています。
オンラインでワークショップをするときに意識していること5つ
それでは、今回はわたしがオンラインワークショップを開催するときに意識しているポイントを5つご紹介します。
複数名で主催・サポートするのが基本
1つ目は、オンラインのワークショップを開催した経験が1回でもある人は認識していると思いますが、オンラインのワークショップは基本的に1人で主催することは難しいです。
自分が進行している間にチャットで質問をする参加者の人や、「見えません!つながりません!」と言う人が必ずいるため、最低限進行するファシリテーターとテクニカルな部分でサポートをする人2名は必要です。理想を言うと、2人のファシリテーターで進行、1人がテクニカルな部分やチャットのサポート、1人がグラフィックレコーディング(記録)をできるといいなぁ…。
オンラインは1人での主催は難しいですが、複数名でサポートする場は、主催者が1人の場よりも安心感が増すはずです。また、そのための準備そのものが協働していくプロセスになるため、オンラインでワークショップが増える時代は小さな協働が増えていく時代だと思っています。
呼びかけ重視!必ず参加の期待値を調整する
オンラインのワークショップは、気軽に参加できる分、対面でのワークショップよりも参加者の期待値の幅が大きく、また「周りの雰囲気に影響される」体感が薄くなるので、事前に「参加者がどのようなマインドで参加をしようとしているか」は対面よりも気遣う必要があります。
例えば、オンラインだとカメラをオフして参加したがる人がいたり、アプリを使ってキャラクターになって(?)参加している人もいます。また、レコーディング機能を使って当日の様子を録画し、動画だけを見たいという方もいます。
もし、あなたが参加者でオンラインのワークショップに参加したときに、周りが音声だけの参加だったら、どのように感じますか。または、動画だけ視聴しようと思っていたら、参加も必須だった場合どのように感じるでしょうか。参加者が「こんな風に参加しよう」という期待と、主催者が「こんな風に学んでもらおう」が外れていると、双方にとって勿体ない場になってしまいます。
対面のワークショップでも参加者の学び方は様々なのですが、オンラインの方が参加形態の違いが大きいため、その違いによるワークショップへの影響は事前に考慮しておかないと、参加者の期待と大きく異なる可能性があることを十分に考慮しましょう。
特に対話の場では、参加者が事前の案内文から読み取って期待することと、当日の内容が異なった場合、大きく期待を外してしまいます。より詳しく知りたい方は「心理的契約」という考え方を認識するようにしてみてください。
ITスキルの差を埋める時間をとる
オンラインのワークショップが対面と大きく違うのは、ITスキルに差があるため、話し合いやワークをする手前でつまづく人がいることです。オンラインツールを使い慣れていない人は、ツールの使い方に気を取られがちなので、最初に一定の時間ツールに慣れる時間をとっておく方が良いでしょう。(例えば、参加者の方に事前に、当日使用するオンラインボードなどを開放しておき、練習してもらうということをやったりします)
ITツールに慣れていない人が集まってワークショップをやる場合と、当日使うツールは一通り使える人が集まる場合、後者だとようやく「どんな話をするか」に意識を向けることができるのです。
始まりと終わりに余韻を持たせる
対面であって、オンラインで持ちづらいことの1つが「余白」です。対面のワークショップだと時間になるまでに、少し参加者と話し合う時間があったり、終わった後も参加者同士で話をしながら帰ったりすることが可能ですが、オンラインだと「急に始まる、急に終わる」ということが出来てしまいます。
対面と全く同じようには出来ませんが、オンラインでも始める前15〜20分前には、Zoomなどのシステムにログインして参加者の方と話をしたりしてゆるやかに待ちますし、ワークショップを終えた後も少し「放課後タイム」として雑談の時間を設けるようにしています。
オンラインワークショップは、「では今日はここまでです。さようなら〜」と余韻に浸ることもなくいきなり終わることができるのですが、せっかくならゆるやかに日常に着地できるようゆとりを持たせると良いでしょう。
ハーベスト(話したことの収穫) で次に活かす
オンラインのワークショップのメリットの1つは、話されたことや意見を記録・集計しやすくできることです。例えば、皆で一斉にオンラインのホワイトボードに書き込みをしたり、Webツールを使って参加者に一斉に質問に回答してもらって画面で一緒に見たり、Google documentにフォーマットを作って書き込みするということも行っています。
対面のワークショップだと、話をした後の付箋をずっと残しておくのは数が多くなってくると大変ですが、オンラインだとそのまま残しておき、また次のワークショップでその情報をベースに話し合いをすることが出来ます。 (なので、対面だと半日〜1日で実施していたものをオンラインにする場合は時間を短くして、数日に分ける方が効果的と考えています。)
どのように記録して、それをどんな風に活かすかを考えて設計できるとかなりハイレベル!ですが、まずは無理せず何かのツールを使って話したことやワークの成果が残るような仕組みを取り入れてみましょう。
オンラインの良さの1つとして、オンライン上に書いたものは、誰が書いたかが対面より分かりづらいので、純粋に意見に賛同しやすくなるという点があります。平等性が高くなりやすいという利点を活かして、話し合った内容の感触やキーワードを残すことが出来たらより良いですね。
オンラインワークショップこそ、設計が命!
ファシリテーターがイベントを主催するとき、事前の設計+当日の進行・介入が主な役割になりますが、オンラインのワークショップこそ、設計に命をかけるべき(笑)です! 対面のワークショップの場合は、準備が甘くても当日の場の進行や、関わり方で多少挽回することも出来ますが、オンラインはある程度、いや、かなり設計が効果を左右します。
冒頭でも伝えましたが、現在のオンラインワークショップはほとんどが、「対面でやっていることをそのままオンラインでやろうとしている」ものだと思っています。対面でのワークショップの経験が豊富であればあるほど、これまでの経験をいったん脇に置くことを意識し、オンラインの特性を活かす設計をする必要があります。
現在、数名のチームでいろんなオンラインワークショップを設計・検証しているので、またぜひそのことについても書きたいと思います。
主催することも、参加することも学ぶ方法の1つ
これは、オンラインのワークショップに限らないのですが、私は「参加者になる」という経験もとても大きな学びの方法だと考えています。ファシリテーターになると、主催ばかりをして他の人の場に参加をしなくなる人もいるのですが、私自身は参加者としての経験が薄れたファシリテーターは良い場が創れると思えないため、他の人のワークショップにも積極的に参加をしています。
いきなり主催するのはハードルが高いという方は、ぜひいろんなオンラインのワークショップに参加してみて、「自分が同じ場を主催するとしたら、どこを変えるか?」を考えてみると良いでしょう。
まだ開拓される余地がたくさんあるオンラインワークショップ。もし、ご自身の組織で研修や対話の場をオンラインで実施したいという方は、設計から相談にのりますのでぜひお問い合わせください。